閉ざされた過去

フィクション

見えざる手

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私たちが見つけたノートには、組織の詳細な情報と、父たちが追っていた案件についての記録が綴られていた。組織の名前は「ブラッククロス」。その存在は一般には知られておらず、秘密裏に活動している影の組織だった。

「ブラッククロス…父たちが命を賭けて追っていたのは、こんな危険な組織だったのね。」私はノートを読み進めながら呟いた。

「まずは、この組織の足跡を辿ることが必要だ。このノートに記されている情報を元に、手がかりを集めよう。」慶太が決意を込めて言った。

私たちはノートに記されていた名前や場所を一つずつ調べることにした。最初に訪れたのは、町のはずれにある古びたビルだった。ノートには、このビルがかつて組織のアジトとして使われていたと記されていた。

ビルの中に入ると、薄暗い廊下が続いていた。壁には古びたポスターや落書きがあり、まるで時が止まったかのような空間だった。私たちは慎重に奥へと進んだ。

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ビルの最奥に辿り着くと、そこには古びた鉄製の扉があった。扉には錆びついた鍵がかかっており、簡単には開かなかった。しかし、私たちは諦めずに扉を開ける方法を探し続けた。夏美が周囲を調べていると、鍵の一部が外れているのに気づいた。

「この鍵なら、何とか開けられるかもしれない。」夏美が言った。

私は鍵を慎重に回し、扉を開けることに成功した。中に入ると、そこには古い机や椅子が並び、壁には地図や書類が貼られていた。机の引き出しを開けると、そこには更なる手がかりが隠されていた。

「これは…」私は驚きの声を上げた。

引き出しの中には、組織のメンバーリストと、彼らの活動計画が記された書類が入っていた。それには、組織が何を目的としていたのか、そしてどのように活動していたのかが詳細に記されていた。

「父たちは、この情報を手に入れるために命を賭けたのかもしれない。」私は書類を読みながら言った。

「このリストにある名前を辿れば、組織の現在の活動を突き止めることができるかもしれない。」夏美が提案した。

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私たちはメンバーリストに記されていた名前を調べるため、町中の情報を集め始めた。リストに記された名前の中には、すでに死亡した者や行方不明になった者も多かったが、一部の名前は現在も活動していることがわかった。

その中で特に注目すべき人物が「黒崎俊一」という名前だった。彼はかつて組織の幹部として活動していたが、現在は表向きは実業家として成功している人物だった。

「黒崎俊一…彼なら、何か重要な情報を握っているかもしれない。」私は黒崎の写真を見ながら言った。

「まずは、黒崎に接触する方法を考えよう。彼の会社や行動パターンを調べれば、何か手がかりが掴めるはずだ。」慶太が提案した。

私たちは黒崎の会社の情報を集め、彼の行動パターンを調査することにした。彼は週に一度、特定のカフェでビジネスミーティングを行っていることがわかった。私たちはそのカフェで彼に接触することを計画した。

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カフェに到着すると、私たちは隠れるようにして黒崎を待った。やがて、黒崎が現れた。彼は堂々とした態度でカフェに入り、指定された席に座った。私たちは慎重に彼に近づき、接触の機会を伺った。

「黒崎俊一さんですか?」私は勇気を出して声をかけた。

黒崎は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに冷静さを取り戻した。「そうだが、君たちは誰だ?」

「私たちは、あなたに話がある。ここでは言えないことです。少し時間をいただけませんか?」私は真剣な眼差しで彼に訴えかけた。

黒崎はしばらく考え込んでいたが、やがて私たちに会うことを承諾した。彼はカフェを出て、近くの公園へと私たちを連れて行った。

「さて、君たちの話を聞こう。」黒崎が言った。

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公園のベンチに座り、私は父の日記やノートに記された情報を黒崎に見せた。「私たちの父親が、あなたの組織と関わっていたことを知っています。彼らが追っていた真実を知りたいんです。」

黒崎はじっと私たちの話を聞いていたが、やがて深いため息をついた。「君たちの父親は、確かに我々の組織と関わっていた。しかし、彼らが追っていた真実は非常に危険なものだ。」

「何が危険なのですか?」私は問い詰めるように尋ねた。

「我々の組織は、表向きはビジネス活動を行っているが、その裏には秘密のプロジェクトが存在している。そのプロジェクトが明るみに出ると、多くの人々が危険に晒されることになる。」黒崎は厳しい表情で答えた。

「私たちはその真実を知りたい。父たちが命を賭けて追ったものを、私たちも知りたいんです。」私は強い決意を込めて言った。

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黒崎はしばらく考え込んでいたが、やがて口を開いた。「君たちの父親は、我々の組織の内部に入り込み、真実を追っていた。しかし、その結果として命を落とした。君たちがその真実を知ることで、同じ運命を辿る可能性がある。」

「それでも、私たちは知りたいんです。父たちが何を追っていたのか、その真実を明らかにしたい。」私は決意を新たに言った。

「分かった。君たちがそこまで決意しているのなら、協力しよう。ただし、危険を覚悟してくれ。」黒崎はそう言って、私たちに手を差し伸べた。

私たちは黒崎の協力を得て、組織の内部情報にアクセスすることができた。黒崎の案内で、組織の秘密の拠点に向かうことになった。

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